不思議な体験。

初めて行った観光地の街中を散策中、
休憩がてらに喫茶店へ。
窓にはステンドグラスがはめ込まれ、
ヨーロッパで見かける古い建物を利用したような店構えである。

 

ゆっくり入口の戸を開けて中に入ると、
「いらっしゃいませ」
カウンターの向こうから落ち着きのある女性のやさしい声。
店内が見渡せる隅っこの席に座った。
(この落ち着いた気分になるのは何なんだ)

テーブルや椅子、そのほか作り付けのものがすべて木製で、どれも年季が入っている。
壁にも木製の時計と、木製の額に入れた絵画がいくつも飾ってある。
(なぜか時計が4つもある)
ライトは白熱灯の控えめなシャンデリア。
今ではお目にかかることのない店の雰囲気である。

 

テーブルが小さめでよく膝が当たり、椅子も薄いクッションがあるだけで座り心地も決して良いとは言えないが、
店内の落ち着く雰囲気がこのストレスを打ち消してくれる。

 

しばらくして、先ほどのオーナーらしき嫌みのない上品な女性が、水とおしぼりを持ってきてくれた。
「アイスカフェオレと抹茶ケーキをお願いします」
しばらくすると、先ほど頼んだカフェオレとケーキが届いた。
振る舞いが自然でマニュアル感が全然ない。
(気持ちいい)

 

水出しコーヒーのまろやかさと、店の手作りケーキのあっさりした甘みは抜群。

 

ほかのお客さんの中にはスマホをさわっている人もいるが、この雰囲気とおいしさを堪能するため、帰るまでバックの中にしまうことにした。

 

ぼーっと、ステンドグラス、絵、時計、手書きのメニューを見ながら、30分ほど過ごした。

 

まだゆっくりしたかったが、次の予定があるので仕方なく店を出ることに。

 

店を出た後、自分がまだ小さいときの、地元の町の風景がサーッと頭によみがえり、しばらく不思議な感覚が続いた。

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