子どもに急がせない。

「きょう行くからね」
とチャックを学校に送り出した。


初めての授業参観だ。

自分の時は嫌で嫌で仕方がなかったが、
チャックは少し余裕がある顔だった。(期待できるかも)

 

ママと一緒に学校に行き教室に入ると、
チャックはきちんと座っていた。
こちらを向いて小さく手を振っている。(余裕があるな。ヨシッ)

 

しばらくするとチャイムが鳴って、
国語の授業が開始。

先生がいろいろと子どもたちに問いかける。
すると、元気よく手があがる。
多いときはほとんどの子どもちが手をあげていた。
今の小学校の授業風景に少しびっくり。
自分らのときは、先生から
「誰かいないのか」
と、よく怒られていたものだ。

 

時間が進み授業も盛り上がっているけど、
チャックの手がちっともあがらない。
質問の意味がわからないのか?
それとも恥ずかしいのか?
ママと少し不安に。

 

そうこう言っているうちに授業が終了。
結局、チャックの手は一度もあがらなかった。
しばらくすると、チャックは走ってママに抱き着いてきた。
(泣いてはないが、何かあったんだろう)
あえて何も言わず、戻るように促した。

 

家に帰ったチャックは何もなかったようにいつもどおりだったので、
「チャックの手をあげているの見たかったなあ」
と言うと、
「だって、たくさん人がいて、はずかしかったもん」
「でも、つぎはがんばるから」
(期待することに)


少し意地悪に、
「みんな、すごいね。○○君や○○ちゃんは何回も手あげてたじゃん」
チャックは冷静に、
「○○君はいつもあげないよ。今日だけ!」
「みんなも、あまりあげないよ」

 

もしかして、親の顔を見て手をあげていたのか?!
そう言えば、ピントがずれてる発言が多かったかも。


もしこれが本当なら、
こんな小さいときから、誰かの目を気にして無理するのって、どうなんだろう。


上司ばかり見て仕事をしているダメな会社員と同じ?

 

もう少しで、チャックにそうさせるとこだった。
ゆっくりでいいから、子どもを信じることに。

我慢。我慢。