勉強より大事なもの。

「パパー、行ってきまーす」

「楽しんできてね」

 

チャックは、一泊二日の夏季学校。

 

グループ行動が基本で、あらかじめ班の役割を決めたことを聞いた。

「最初、チャックは副班長だったんだけど、班長になる予定の◯◯君から代わってほしいって言われ、班長になった」

「おお、偉いな。自分から言ったの?」

「うん」

 

当日の朝は、楽しみの期待の中に、少し班長の不安が入った出発のような気がした。

 

翌日仕事から帰ると、チャックはママに自慢げに話しをしている。

「夏季学校どうだった?」

「すごく楽しかったよ。でも、なかなか言うことを聞いてくれない友達がいて・・・」

話を聞くと、結構リーダーシップを取ってたみたいな感じ。

「チャックは精一杯やったんだから、それでいいんだよ」

「でもね・・・」

 

その数日後、学校に用事があって行った時、保健室の先生から、

「夏季学校、すごく頑張ってましたよ」

「あ、ありがとうござます」

担任の先生なら、いつもの挨拶代りの話かと思うのだが、今まで一度も話したことのない保健の先生からだ。

信じることに。

 

夏休みが近づき、まわりは勉強がああだこうだ、塾はどうするの、って言っているけど、

ひとの世話を率先してやることや、最後まで責任を持ってできるようになることも、大切なことであると思う。

 

チャックは、私の知らないところでも、少しずつではあるが成長してる。頼もしい反面、少しさみしい気もしてきた。